Dialogue for Circular Economy 「 YASUDA SANGYO GROUP ✖️一般社団法人リリース」
人、物、社会をリデザイン。鍵を握る静脈産業のマインド
人は有史以来、多くの便利ですばらしいものを産み出し、効率よく作られるようになりました。しかし結果として、現代社会のワンウェイの仕組みは大量のゴミをもたらし様々な問題を引き起こしました。この生み出す方の産業を「動脈産業」というのに対し、捨てられたモノをもう一度社会に戻すための産業を「静脈産業」と呼び、その考え方のバランスが重要視されています。
風間美穂 Miho Kazama
一般社団法人リリース共同代表「未来が歓迎する変化をつくりだす」ために、ビジネスとクリエイティブをはじめとした多様な専門家が集まり共創する組織で、プロデューサーを担う。
安田義崇 Yoshitaka Yasuda
安田産業グループ地球環境室室長代理
真の循環型社会に向けた人づくりを
風間 安田産業さんから見た循環型社会の現状を教えてください。どんな取り組みがはじまっているのですか?
安田 家電などはメーカーが回収するようになりましたね。僕もそれが一番だと思っています。もともとリサイクルスキームを作ってから製造することが必須かと思います。例えばPC関係などは国内外問わず、既にそうなっています。リサイクルしやすい、環境負荷の低い代替素材の導入なんかも進んでいます。レアメタルも多く含まれているので、資産流出の観点からも有効です。レアメタルは、都市部のゴミの中に多く眠っているため都市鉱山なんて言われ方もします。風間 今、私が関わっているラーニングプログラムでも廃材をリユース・再加工しようとしていますが、一番必要だなと思うのは、学びを通じた循環型社会の人材育成だと感じます。第2回ジャパンSDGsアワードを受賞している鹿児島の大崎町を訪問した時、リサイクルネイティブが育つ環境に感動しました。小学生も自分で分別をするから、物を買う時点で資源になるかを考えているそうです。またリサイクルで処分コストを削減した後、浮いた予算は町や未来に還元しようと奨学金を作られていました。
安田 おっしゃるとおり、人材育成が必要です。今は完全サーキュラー社会への移行途中でアイデアを出し合う事も必要です。しかし同時に、我々のような現場の実情と専門知識も是非お伝えしたいと思います。必要なのは抜本的な社会フロー、インフラ、考え方の変革です。浮いた予算の使い方も重要ですね。
風間 今までものを製造・販売する(いわゆる動脈産業)方と、安田さんのように収集・運搬・分別して再資源化を担う(いわゆる静脈産業)方の交わりがとても少なかった。これからモノづくりを担う方は特に、再資源化の考え方や知識を安田さんたちと学び合えるといいですね。
静脈産業にもDXとビッグデータが必要
安田 注目しているのはDX化です。我々の業界はエッセンシャルワークだと言われているのに、先端技術の導入がすごく遅れている。運ぶものは違えど運送会社も変わらないはずなのにとてもDX化が進んでいて、紙の伝票を見なくなってきた。物流は最適化され、今日頼んだものが明日来る。それなら廃棄物のビッグデータをもっと活用して、物の無駄や情報の偏在を解消し、もっと社会全体も最適化できるはずですよね。
風間 素材から作って、売って、使って、捨てる。これからのビジネスは、その後の循環プロセスにも、どうつなげられるかが鍵になるかと。
安田 行政も企業も消費者も巻き込んだ、社会システムの再構築が必要だと思います。例えば、ゴミが減れば(削減データでも実証できれば)、そのぶんゴミ処理代が減るわけで、国や市町村なども予算を捻出できる可能性があります。特にここは観光都市京都ですから、観光案内アプリ、防災アプリなどと一元化して、循環型観光サービスを展開できるはず。様々な負荷を低減する選択肢にポイントが付加され、ホテルでのウェルカムドリンクや観光施設での割引など、別の形の価値で循環も考えられます。不確実性をなくすとロスが少なくなるので、食事も予約が当たり前になればなお良いですね。その分お肉のランクをアップなんてどうでしょう?デジタル化を促進し、ビッグデータによる管理と資源の適切な管理をすることが一番重要で、安田産業は今後、そのための情報提供サービス社(インフォメーションプラットフォーマー)に特化しても良いとさえ思っています。
風間 それは心強いですね!行政が財政難だからこそ、民間と協力して仕組みを再構築しなおせると、ぐっと進みますね。ビックデータをもとに、サーキュラーエコノミーをどう共創したいか、立場を超えて描く後押しをしたいです。
安田産業グループヤスダサンギョウグループ
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