マテリアルライフサイクルの終わりとはじまり
ごみの処理&リサイクルのプロに聞く
一見、消費の最終地点ともいえる廃棄物処理場。身近なお店や企業から排出されたさまざまな廃棄物は、その後、どのように扱われているのでしょう。今回は、廃棄物処理のプロ・安田産業さんにTSUMUGINO KYOTOがお話を聞きました。
ごみの減量に欠かせないのは
買い方の変革。再利用の検討も
―― 京都の街を歩いていると、安田産業のパッカー車を見ない日はありません。日々どのくらいの量なのでしょうか。
安田さん(以下、Y) 日によって多少の変動があるのですが、年間の廃棄物量から算出すると、一日あたり約130トンというところです。そのうち、リサイクルしているのがサーマルリサイクル※1も入れて約8割。残りの2割を廃棄物として最終処分場へ搬出しています。
―― 大半がリサイクルされているのですね。驚きです。
Y 当社は昭和49年に開業したのですが、その時点で既に「リサイクル」「再利用」を事業として視野に入れていました。廃棄物処理業者としては後発ですが、リサイクルに取り組んだという点では先駆者的な位置にいると自負しています。
―― リサイクルをする上で困っていることはありますか? 我々消費者や事業者にできることがあれば。
Y まずは生ゴミの水分です。水分があると処分の際に燃えにくくなりますから、よく水を切って捨ててください。あとはきちんと分別してくだされば困っていることは特にありません。
しかし、そもそもで言えば買い方を考えることです。不要なものを買わない、包装の過剰なものは避けるなどすればごみは増えません。
―― 最近ではゼロウェイストショップ※2なども登場しているので、利用してもいいですね。
Y そうですね。あとは再利用を検討すること。アルミ缶などのリサイクル率は高いですが、いちばん環境負荷の少ないのは、そのまま洗って使えるものです。昔ながらの通い瓶や通い箱、例えば牛乳瓶などもとても良い知恵です。
※1 廃棄物の処理の際に発生する熱を、エネルギーとして回収して利用すること。
※2 量り売りなどで過剰なプラスチック包装などをなくしながら商品を販売している店。
マテリアルライフサイクルのスタートはどこか。
社会全体を俯瞰するこで見えてくる新しい世界
―― 安田産業さんでは今、企業からの依頼を受けて製品開発やリサイクルのコンサルティングなどを行なっているそうですね。
Y はい。廃棄の観点から見るとまた違った視点が見えてきます。捨てられた後の事を考えて設計する製品づくりはもう始まっています。売って終わりの時代は過去のものです。分解して再利用できるパーツ部分を多く設計すること、単一素材で作る事で、分解が不要になることなど「つくる責任」をまっとうしようとする企業が少しずつ増えています。つまり私たちが運んでいるのはゴミではなく、資源だということに気づいて頂けたということです。
―― 生産者サイドが廃棄に注目するようになったのはいい流れです。我々消費者が買い方の視点を変えるのも重要ですね。
Y そうですね。私はごみそのものに目を向けるのではなく、生活スタイルや社会の仕組みを変えたいと考えています。社会全体を広い視野で見渡せば、変えていけるところがたくさんあると感じています。
安田産業グループ
ヤスダサンギョウグループ
☎0120-53-1153
info@yasuda-group.co.jp
http://www.yasuda-group.co.jp/
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