Everyone is a genius 強いこだわりは天才の証

なぜか「気になる」「吸い込まれる」。
アーティストのフィルターを通ることで言葉では言い表せない魅力を生み、それをアートと呼ぶ。個性豊かなアーティスト達の活動を支援する「天才アートKYOTO」の活動をご紹介します。

高畠晃平「エンペラーペンギン」

 

 

才能あふれる人材が 創作から離れないように

 

自分の中にはない個性に惹きつけられ、つい目が離せなくなる。芸術作品を生み出すアーティストたちは、ありきたりな毎日に非日常というご褒美を与えてくれます。そんな秀作を世に送りだす「天才アートKYOTO」は、障碍(しょうがい)のある人やひきこもりの人などが持っている優れた感性と表現力を支援する団体です。2011年に設立されてから、アトリエの提供、作品のアーカイブと複製画の販売、原画のレンタルや販売、展覧会の開催、グッズ販売など、多岐にわたってアーティストの活動を支えてきました。時おり、様々な機関・企業の協力を得て公共空間等で開催される展覧会から購入等の問い合わせなどもあるそう。個性豊かな作品群を楽しそうに紹介してくださった重光豊さんも、「天才アートKYOTO」の発足当時から活動しているおひとりです。 障碍者の方々が芸術的天才だと気づいたのは、重光さんが支援学校の校長だった時代。「当時、文部科学省の研究事業の一貫で、プロの画家や芸術系大学の専門家を招いて創作の授業を実施したんです。生徒たちは想像を超える素晴らしい作品を生み出してくれましたが、卒業と共に創作活動から離れてしまう人がほとんど。そこで彼らの才能を活かせる新しい道を切り拓こうと、2012年に学校統廃合で空いた小学校にアトリエを開設しました」。2021年に移転してから現在までは、平日に制作をしたい人は北区紫野にある「きたアトリエ」、土・日曜に制作をしたい人は三条にある「東山アトリエ」で活動しています。

「天才アートKYOTO」副理事長・重光豊さん。京都市立の総合支援学校に勤務していた時代から、彼らの美術の才能に着目
アトリエのひとつ。きたアトリエには合計3つのアトリエが用意されている
人気作家水玉みりさんの制作途中の作品。彼女は今、平面から立体へと進化中

 

 

類稀なる個性に心奪われた 企業からのオファーも

 

現在の所属作家は10歳から57歳までの45人。いずれも絵画教室に通う生徒ではなく、ひとりのアーティストです。取材当日、制作中だった大場多知子さんは引きこもり生活20年の後に作家の道へ。独学で今の画風を確立したのだそうです。天才になる可能性は、誰にでもあると重光さんは考えています。

「今、大場さんが描き進めているのは、村田製作所から依頼を受けた作品で、社屋に展示される予定です。制作活動が作家に自信を与え、その自信と充足感が人生を変えていきます。人は能力や才能の有無に関わらず、主体性と周りからの理解で成長し、豊かに生きることができます。そして私もまた、その芽が出る瞬間に立ち会えてとても豊かな気持ちになります」。

 

通い始めて5年ほどだという、アーティストの大場多知子さん。きのこをモチーフにずっと見ていたくなる緻密な画風が持ち味
石原寛子「増殖」
足立茉莉「無題」
若林義輝「無題」

 

 


 

天才アートKYOTO (NPO法人 障碍者芸術推進機構)

京都市北区紫野西舟岡町2
ふれあい共生館内
http://tensai-art.kyoto
2023年4月以降は月曜〜金曜(11:00-15:00)に作品や、
作家の創作活動を見学可能(※事前の予約要)。
グッズや、原画作品も購入可能。

 

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