HEART BEAT FROM BEES ミツバチがおしえてくれたこと

Kyoto Sustainable Tourism Report 01
ー 京都では、次の1000年を紡ぐための取り組みがはじまっています ー

「ブン、ブン、ブン、蜂が飛ぶ」。さて、ここは京都タワーが真横に見える養蜂場。京都駅前にあるホテル、THE THOUSAND KYOTOの屋上では、今年3群目の巣箱が密かに誕生しようとしていました。

THE THOUSAND KYOTO 屋上養蜂

SDGsを実現するライフスタイルを提案する京阪グループの「BIOSTYLEPROJECT」の一環として、様々な取り組みを行っている京阪ホテルズ&リゾーツ。2020年に社内の事業構造改革プロジェクトで検証したアイデアの中から実現した1つが、この屋上での都市養蜂です。20215月に岐阜県から1群目の巣箱が届き、約10,000匹のセイヨウミツバチを迎えてからちょうど1年がたち、社内の有志で構成された都市養蜂プロジェクトチーム、通称「養蜂部」は現在9名。テレビでよく見る蜂よけの面布をかぶり、手には燻煙器。蜂がブンブン飛び交う中、岐阜県の養蜂家さんにオンラインで手ほどきを受けながらの本格的な作業に驚きました。ここは京都駅のすぐ横にあるホテルの屋上です、そして作業をしているのはホテルで働く人達なのです!

THE THOUSAND KYOTO 屋上養蜂
奥に見えるのが京都タワー
THE THOUSAND KYOTO 屋上養蜂
THE THOUSAND KYOTO 屋上養蜂

昨年は約7kgの蜂蜜の採取に成功。小瓶につめた蜜は、社内で養蜂のプロジェクト周知のため社員に配布されたそう。「毎週金曜日の午前中を内検日と決めて、プロジェクトメンバーが毎週欠かさず巣箱をパトロールしています。スズメバチによる襲撃やダニがもたらす病気からの予防、女王蜂が元気かどうか、心配はつきません。セイヨウミツバチの飛行範囲は約3km。東山のお寺の豊かな草花、梅小路公園や鴨川のほとりのお花など、蜂さんはいろいろなところから蜜を集めてきてくれるんです。かわいいでしょう?」と話すのは同社の取締役井上さん。養蜂部のリーダーです。途中で2群目の巣箱を迎え、順調に蜂数が増えたのを見計らったこの日の仕事は「分蜂(ぶんぽう)」と呼ばれる大仕事。別で用意した巣箱に、王台付きの巣礎を移します。これで、新しい女王蜂と半数の働き蜂が別の蜂蜜工場をスタートするのです。つまりのれん分けです。

同じく養蜂部兼ホテルのオンラインショップ担当である関口さんは「みんな楽しんで取り組んでいます。1匹のセイヨウミツバチが生涯で集められる蜂蜜は小さなティースプーン1杯分なんです。そんな貴重なものを分けてもらっているという感覚が大きいです」と語る顔は、もはや養蜂家や環境活動家。たった7kgの蜂蜜ですが、自らが関わることで、自然や動植物から恵みを分けてもらうという感覚がわいてくるそうです。

巷では激減するミツバチの話。園芸のテキストを開くと「確実な受粉をさせるには人手で」といった文言がよく見られるようになった今日。受粉というあたりまえの自然現象は、実は当たり前ではなかったことに気付かされます。「目の前にいるのは生き物で、体調の良し悪しもありますし、蜜を採取する植物の状況もあります。ふと気がつくと、気候変動のことなんかも気になるようになりました」と話すのは経営企画室の永井さん。自分達の作った蜂蜜をはやく製品化してお客様に届けたいと語ってくださいました。蜂とともに働くことで、自然の摂理に触れ、慈しみの心が育まれる。そしてチームビルディングにも!?不便さも含めて楽しんで、仕事にやりがいを感じる。ホテルの屋上では心温まる風が吹きはじめていました。この風はきっと旅人の心を潤し、物質だけではない循環を産み出していくことでしょう。


この日は、蜂蜜も採取。巣板6枚で合計6kgが取れました。

THE THOUSAND KYOTO 屋上養蜂
THE THOUSAND KYOTO 屋上養蜂
THE THOUSAND KYOTO 屋上養蜂

販売用製品の作業時は、帽子・白衣・手袋を着用されるとの事。

THE THOUSAND KYOTO
ザ・サウザンド・キョウト

075-354-1000
京都市下京区東塩小路町570
https://www.keihanhotels-resorts.co.jp/the-thousand-kyoto/

Kyoto Sustainable Tourism

京都市観光協会(DMO KYOTO)では、未来の環境や社会への影響を考慮した観光スタイルを目指すコンセプト「Kyoto Sustainable Tourism」とそのロゴマークを作成しており、TSUMUGINOはこのコンセプトを応援しています。コンセプトにご賛同いただけ、ロゴマークをご利用されたい方は、下記からお申し込み下さい。

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PHOTO 森昭人 TEXT 上山賢司

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