■ PHOTO/TEXT:上山賢司
快眠と充⾜が⽣む豊かさの道しるべ 京都市内の北部、里山文化が色濃く残る京北で、快眠についての旅の実証実験が行われました。陰陽五行によってタイプを診断された参加者は快眠のプロフェッショナル集団から様々なアドバイスを受け、寝具、食事、アクティビティー、鍼灸などのプログラムに没頭しました。そのどれもが効果的ですが、里山という舞台が組み合わさる事で、京都が持つ計り知れない癒しのポテンシャルを感じた3日間を紹介します。
豊かさはどこからやってくるのか
「とってもよく眠れた。心やすらかな気持ちです。」今回の参加者のひとりであるJUNさんは言います。香港では快眠に特化したホテルを経営するほか、日本でも禅の思想に基づいたキャンピングカーの事業をおこなう経営者です。「良く眠り充足する事と、この稀有な地域と接する事で、生きとし生けるものの恵みを感じられました。僕たちに今必要なのは、slower&deeperです」。ある人は、経済的に豊かでなければ、他人の事や地球の事など考える余裕が無いと言います。しかし、満たされた状態を作る事はいくつかの方法があるのではないか。里山を舞台に、東洋医学の見地から快眠を体験することで、あらたな文脈が生まれた瞬間でした。
眠りへのアプローチ
快眠は充足を得るための重要な要素です。人によりますが、人生の1/3は寝ていることになります。考える葦である人間は、煩悩によって要らぬ荷物を背負い込み、やがてうまく眠れなくなります。そこで、リトリートというアプローチからの旅が注目されています。リトリートとは、数日間、普段の生活圏から離れることで、心や体を癒す過ごし方のこと。観光が目的の旅行とは違い、刺激を得るためというよりは、日常から退避することでリフレッシュすることが目的です。毎夜、鍼による施術が受けられ、ゆるやかな覚醒を促し、疲れを堰き止めていたタガが外される事によって、自律神経が乱れていた事に気づかされます。参加者は1日目の夜より2日目の夜になるにつれ、深い眠りに落ちていく感覚があり、自己啓発によって身の丈以上に分泌されたアドレナリンや、ドリンク剤によって摂ったカフェインによって、知らず知らずのうちにがんばり過ぎていた事を自覚することができます。早朝のヨガで朝日を浴びて体内時計をリセットし、呼吸とポーズによって、自律神経を整え、瞑想によって集中力を高める―。参加者の中には、寝落ちする瞬間まで明確に認識できるほどリラックスによる集中力を高められた人もいました。
恵を感じられる器づくり
有機野菜を中心に地元食材と最低限の調味料で作られた食事は、滋味深くてとても美味しい。合鴨農法で作られた有機米の豊潤な香り、そして役割を全うしてくれた合鴨も、感謝の念とともに頂く。人、自然、動物、あらゆる対象に感謝したくなります。効率を最優先した結果、都市部にはなくなってしまった、天と地の間にある“何か”が満ちみちているようでした。京北では、狩猟や農耕、そして貨幣以外の価値を交換し合う生活を垣間見ることができます。その雰囲気が、心と体のスローダウンを促しているのか、参加者同士の会話も、必然的に持続可能な社会に向けた視点で溢れてきます。
「言葉にしつくせない体験をしました。そして京北のために何かしたいと思いました。またすぐに家族と訪れたいです」と参加者は口を揃えて言います。参加者達は快眠をきっかけに、里山文化や自分と向き合い、何か大切なものを感じていました。心と体を満たすのにそれほど多くのものは必要ないのかもしれません。満たされた人が、人のために「何かしたい」と思うとき、とても安らかでクリエイティブになれます。心の底からこの地域や、世界を残したいと願った時、循環型社会を理解できるのかもしれません。
DAY 1 11:00 Check In 睡眠改善インストラクターによるカラダ別「睡眠&体質改善レクチャー」 12:30 地元野菜のオーガニックランチ 14:00 里山サイクリングコース 17:00 タイプ別アクティビティー(足湯&鍼灸) 18:30 陰陽五行タイプに合わせた食療(有機野菜・雑穀ご飯など) 20:00 快眠鍼灸施術 21:00 就寝
DAY 2 7:30 サンライズヨガ 8:30 朝食 10:00 森林ウオーク 12:00 地元野菜のオーガニックランチ 13:30 陰陽五行タイプ別アロマ石鹸づくり 17:00 タイプ別アクティビティー(足湯&鍼灸) 18:30 陰陽五行タイプに合わせた食療(有機野菜・雑穀ご飯など) 20:00 快眠鍼灸施術 21:00 就寝
DAY 3 8:30 朝食 11:00 Check Out
主催 株式会社ROOTS
里山体験・宿泊に関するお問い合わせ:https://rootsjourney.jp
TSUMUGINO
次の1000年もワクワクするためのSDGs情報メディア