FEEL THE WISDOM BATON 工芸−− 時空をこえてつながる旅

最近巷では工芸や民藝など工業製品ではないものづくりが見直されています。

その素晴らしさを伝えたいと、工芸に関する展覧会やイベント

ホテルのコーディネートなどを多数手がける北澤みずきさんにお話を伺いました。

なぜ工芸品って美しいのでしょうか?

Mizuki_Kitazawa_in_moksa Rebirth Hotel

Mizuki_Kitazawa

北澤 みずき Mizuki Kitazawa

インディペンデント・キュレーター。東京出身、京都在住。伝統工芸や骨董を主軸にホテルや商業施設の企画やしつらい、バイイングなどをボーダレスに担当。 2018年より開催している工芸・手仕事の展示販売会[Kyoto Crafts E x h i b i t i o n D I A L O G U E ]のキュレーター。


工芸= 最適解という見解

「私の場合、前職でホテルをはじめとする商業施設の企画・設計・運営をする会社に所属していこともあり、独立してからもホテル関係のお仕事を頂く機会が多いです。ロビーに飾る大掛かりなものから、お部屋の細かな備品まで、工芸に限ったコーディネートをするわけではありませんが、コンセプトやその場所にあった最適解を見つける仕事です。工芸品も人が必要にかられてつくりあげた最適解だと考えています。これ以上は最適化できないというラインまで機能性や形を研ぎ澄ませたもの。長い時間がかかって検証され、いらないものは削ぎ落とされているとも感じます」。かつての人が手に入るものを駆使して育んできた物作りが、美しさに昇華していく過程を想像するのが素敵な時間になると話す北澤さん。先人のそのまた先人の知恵を引き継ぎながらゆるやかにブラッシュアップされる。そうした時の移ろいがモノに宿っているそうです。

北澤さんは、今年春に比叡山のふもと、八瀬にオープンしたホテル[moksa Rebirth Hotel]にも携われたそう。「moksaという名前は再生や循環を意味するサンスクリット語のモクーシャから来ています。1000 年以上前から養生の地として知られる八瀬の窯風呂ーつまりサウナですねーを現代風に再現しているのが1つの特徴です」。科学も医学も無かった昔から、人はその場所に何かを感じ、またサウナの良さを直感でわかっていたことになります。そう考えると、人は本来モノや場所に眠るパワーを感じられる感性を持ち合わせているのかもしれません。また館内全体のアートキュレーションを担当された[ザロイヤルパークホテルアイコニック京都]では、京都市中心部に立地するホテルであることから「多くの人が行き交う場所、そして様々なバックグラウンドを持つ人が集う場所ですので、多義的・重層的な解釈ができる空間を意識して京都にゆかりのある工芸の作家さんへお願いしました」とのこと。場所、人、モノに眠る何かを感じ、つなぎ合わせるお仕事であると感じました。

moksa Rebirth Hotel

moksa Rebirth Hotel]の完全予約制プライベートサウナ[蒸庵]。水風呂には比叡山の地下水を使用しているそう。

moksaで提供されているHAHAHAUS(ハハハウス)さんの養生茶

moksaで提供されているHAHAHAUS(ハハハウス)さんの養生茶も北澤さんのオススメ。陰陽五行の考えに則って身体のバランスを整えるブレンド茶は、馴染むようにゆっくりと作用するのが特徴とのこと。食にも、人の体や自然と調和した最適解がたくさんあると北澤さんは言います。

The Royal Park Hotel Iconic Kyoto

滞在そのものが旅の目的となるホテルを目指している[ザロイヤルパークホテルアイコニック京都]の客室。


秘められた先人達の感性

「最適解をくみとり、今の技術、生活様式、マインドで焼き直したものが今また沢山生まれてきていて、私が関わらせて頂いている[Kyoto Crafts ExhibitionDIALOGUE]※でも触れて頂けると思います。そうやって少しずつ形を変え、検証されながら残っていくものを工芸と言うのではないでしょうか。残念ながらモノも建物も1000年残すことは難しい。けれども作品を通して引き継がれる「感性」はずっと続いていくものだと思います。100年(前・後)、1000年(前・後)の人たちと時空を超えてつながれるロマンがあります」。工芸を因数分解することで、私たちはいつでも時空の旅に出かけられる。街の至る所で工芸に触れられる京都に北澤さんがとどまる理由がわかった気がしました。

Kyoto Crafts Exhibition DIALOGUE
2018年よりスタートした、工芸を中心とする手仕事の見本市&展示販売会。ホテルの客室が展示会場となり、京都を中心とした全国から多様な作り手が集まる。


PHOTO 森昭人 TEXT 川合裕之 写真協力ザロイヤルパークホテルアイコニック京都

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。